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今日も生き恥さらします。 明日も生き恥さらします。 真の武士 ―オタク― になるために・・・。
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今日は嬉しかったの!!で、備忘録!!


人から借りた本を返そうと、家から持って出たは良いものの、自転車の前カゴに入れたまま忘れ、電車に乗ってしまった。気づいたのは会社に着いてから。
一日、気が気じゃなかった。
誰かに持ち去られたり、いたずらされてたらどうしよう。
買って返そうにも、古い本だから絶版になってるかも。

そしてヤキモキしながら帰ったら・・・ちゃんと、自転車のカゴにありました。

ありがとう!!人の善意・・・!!

もしかしたら不審物だと思って、だれも触らなかっただけかもしれないけれど。
盗まれても不思議はなかった。

これは、この幸運は、誰かに返さなきゃ!!
誰かに優しくしなきゃ!!

珍しくそんなことを思いながら自転車をこいで帰宅途中、白い杖を持っている目の不自由な人とすれ違った。
こぎながら振り返る。
その人の歩く方向には、道にはみ出した看板があったり、自転車が路上に止められたりしている。


・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・。


ええい、ここで勇気を出さなくてどうする!!!


近くのコンビニに、急いでチャリを止め、ハイヒールで全力後戻り。(足音ハンパなかったよ!)


正直、困りそうな人を助けたことは何回かある。
でも、たいていは相手にただ驚かれたり引かれるばかりで、役に立てたためしはない。
ゆえに、たいてい臆病になってしまい、おせっかいできずに引っ込んで、あとで何度も思い返して悔んだりしていた。

でも今日は、絶対誰かに優しくしなきゃいけないんだ。
絶対だ。
だから、勇気を出そう!!

「すみません」と声をかけてから、その人の肩にそっと触れてみた。
過去の失敗で、いきなり話しかけたり、いきなり肩を触ると、ものすごく驚かせてしまう事を学んだ。
声をかけて、そっと触れる、この順番が、いちばん相手を驚かせない。

はい、と明るい声でこちらを振り仰いだ女性は、私の親くらいの年代だろうか、夜中なのに深くかぶった帽子で、目元は一切見えなかった。
「あの・・・」声を掛けたものの、なんて言っていいのか迷って、「もしかして、駅に行かれますか?この先、看板とか、自転車とか、道が狭くて危ないので・・・」と言葉に困っていたら、その人はパッと笑って「もしかして、一緒に駅に行かれる方ですか?」と。いや、本当は駅から来たので逆方向・・・でもそう言うのも野暮なので、「はい」と嘘をついて「もしよろしければ、改札まで一緒に行きませんか?」と言ってみた。
その人は「わあ、いいんですか?ありがとうございます、助かります!」と明るい声で言ってくださった。

これは聞きかじった知識ですが。
目の見えない方を介助する時、先方は杖を利き手の反対に持って、利き手を、介助者腕に添えて歩く。
それを忘れて、直接手をつなごうとした私の『腕』を、その人がそっとつかんだ。
そうか、こうだった。(反省)

それから、「看板を避けます」と誘導すると「そうそう、この道、3つ看板が歩道にはみ出しているのよね」とその人は笑った。
居酒屋の、可動式(足元に車輪がついて、移動できるタイプのプラスチックの)看板が、たしかに3つ続いて道にはみ出している。いつもは気にしなかった。でも、目の不自由な人には、思いがけない恐怖になる。
「いつもある程度予想してるんだけど、ときどき自転車とか、車とか、変な所に止めてあるでしょう?スリルがあって面白いんだけどね。綺麗に回避できると、自分で『ピンポンピンポン♪』って思うのよ」と、その女性は本当に明るい声で話す。「前向きすぎる!!」と私が笑うと、一緒にケタケタ笑ってくださった。

不意にその人から「何駅まで乗るんですか?」と聞かれた時、とっさに言葉が出なかった。
目がみえないひとは、その分どこか聡いのか、すぐに私のついた小さなウソを見破ったようだ。
「・・・もしかして、目的地とか通り過ぎたんじゃない?」
更に何も言えない私に、「ごめんなさいね、仕事の後で疲れてるでしょうに・・・」声から、私の年齢も大体察せられているようだ。
「いえ・・・」こういう時に限って、相手を安心させる言葉が出てこない。もどかしい。
そうした空気も察するのか、その人は「いつもここに自転車はみ出してるんだけど・・・ある?」とか「そろそろ八百屋さん?」と、絶えず明るい声で話しかけてくださる。
聡明な人だなぁ、と、うっとりするうちに、改札口についた。
「ありがとう、本当に助かったわ。声をかけてくれて本当にありがとう」そう深々とお辞儀されて、私の方こそ、救われた。ありがとうって言いたかった。
「お気をつけてお出かけください」相手に見えないのは分かってたけど、深々とお辞儀した。
相手の人も何度もお辞儀していた。
自然と動作が伴ったのか、昔は目が見えていて所作を知っていたのか、それともこういう時は腰をかがめるものだと教わったのか。見えても見えなくても、お辞儀をするのが自然、そういう姿勢が素敵だと思った。

私の助けは要らなかったかもしれない(慣れている道の様子だったから)。
途中、歩幅が早すぎたと気づいて「歩調、早かったら言ってくださいね」と後付けで言ったけれど、もしかしたら無理をさせてたかも。
小さな後悔は、しこたまある。

でも、その人が「助かったわ」って、言ってくれた一言が、本当に嬉しかった。
このまま、いつもみたいに、どうしようと迷って、結局何もせずに家に帰って、後悔するよりも、何万倍も嬉しかった。


人の優しさに気づいたら、ためたりせずに、すぐ、その日のうちに誰かに優しさを返すのが、最近の俺ルールとなっています。

次の日とか、いつか、誰かに優しくしよう、じゃなくて。
今日の優しさは、貯めず、その日のうちに誰かにバトンタッチ!!
そうすると、気兼ねなく夜眠れます。

調子に乗って、次の日、「自分から優しさのバトン一番乗り!!」な気分になって、意味もなく誰かに親切にしよう!とか思ってしまう。

どうしてもへなちょこで、元気も気力も出なくて、人にやさしくしたいのにど―――してもできない日も、生きてるうち、何度も何度もある。

そんな時こそ、不意に誰かから回ってきた優しさのバトンに、すっげー力をもらったりする、あの気持ちを知っているので。

独りよがりじゃなくて、誰かにバトンを渡せた日は、思わず日記に付けたいくらい嬉しい日です。
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