嫁ぐなり先方のご両親と2世帯同居をしている友人がいる。
どう考えても苦労をわざわざ買ってる。
飼われている犬には吠えまくられるわ(噛まれたらしい)、ゴミ箱の位置を姑に婉曲に指導されるわ(ダンナ経由で言われたらしい)、ダンナはぼんやりだわ(気がつくと家中のものがネズミ講で買わされた商品)、小姑が離婚して出戻ってきたわ(裁判沙汰で大変だった)、家の周りはダンナの一族で固められてるわ(地主に嫁いだものの宿業)、今年の正月には、本当にはだしで逃げ出したかった・・・!と、チーズフォンデュをむさぼりながら憤慨する彼女の話を、ワイン片手にゲラゲラ聞いていた。
毎日「家政婦は見た」の気分だ、と彼女は言う。
「あら、まぁ・・・△子さん、そんな・・・!」という心境で、疲れるそうだ。
だが、元来私の友人などをつづけていられるような豪胆きわまりない人間だ、ただでは起きない。
以下、夫婦の会話を再現。
ダンナさんが夕飯を作ってくれた際。
妻:「なにこれ!すっごい美味しい!!どうやって作ったの!?」
夫:「え?市販のレトルトだよ」
妻:「・・・・・・・。ううん、絶対違う、何か隠し味入れたでしょう?」
夫:「え、コショウしか入れてな・・・」
妻:「それだ!!すっごく美味しい!」
夫:「そうかなあ?」
妻:「こんな美味しい手料理食べられるなんて、世界で一番幸せな奥さんだよ!お嫁に来てよかったぁ」
夫:「・・・明日は、何を食べたい?」
この瞬間、彼女はしめしめ、と思ったらしい。
また、掃除をダンナの業務にシフトさせたいともくろんだ彼女は、ちょっと変わった掃除機を購入。
ハウスダストを見つけ出し、きれいになったら青のランプが点灯する・・・という商品らしい。
妻:「ねえねえ、ちょっとこれ見てみ。面白いよ!」
夫:「わ、なにこれ」
妻:「賢いよね!ちょっとやってみ?」
夫:「へーすごいね」
翌日、彼女が帰宅すると、ダンナが無邪気に掃除機をかけて「これ面白いね!」と言っていたらしい。
もくろみどおり、完全にダンナは食いついた様子。
次はなんとかだまして風呂掃除をやらせようともくろんでいるらしい。
話を聞いてたらなんだかもうダンナの肩をぽんと叩いてやりたくなった。
私:「今度のむとき、ダンナも連れてきな・・・」
友:「わぁ、喜ぶよー」