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今日も生き恥さらします。 明日も生き恥さらします。 真の武士 ―オタク― になるために・・・。
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本社勤務、怖いし不安だしわけわかんないし・・・

でも一つだけ、本当に神様ありがとうって思ったことがある。



私の部署の役員さんが、以前ちょっとだけ秘書をやらせていただいた常務だった。
御病気を得たため、実動部隊から外れて、本社に在籍なさってたのだが。
思わぬところで再会となった。

わたしにとって、非力な自分が唯一最大に、して差し上げられることは「祈ること」だと思ってる。
ので、その方に、「健康祈願」のお守りを差し上げた。もう2年も前の話だ。

本社出勤初日、役員室に呼ばれた。
常務が笑顔で迎えてくれた。

「ガンが、再発したんだ」と、笑って仰った。

何も言えなかった。
固まってる私に、にこにこしながら「でも春雨さんがくれたお守りがあるから、大丈夫だよ」と、お財布から取り出してくれたのは、私が差し上げたあのお守りだった。

涙がとまらなかった。
すごく失礼だし縁起が悪いと思ったけれど、涙がとまらなかった。

役員室に一人でじっとしていると、(病気のこととかで)気分が沈むから、自分でお花を買ってきたんだ、と。
チューリップが『ペットボトル』に活けられていた。
お部屋のドアを開けた時、真っ赤なチューリップが目に入った。確かに。
それだけで、そこにあったかい灯りがともってるみたいに見えた。

怖くて不安な時、お花があるのとないのとでは、心細さの桁が、全然違う。
その気持ち、私も知ってる。すごく知ってる。


お部屋から下がって、3月まで常務のお世話をしていた前任の秘書さんに事情を説明し、花瓶はありますか?と尋ねたら、その人はあっけらかんと「あー常務、お部屋にお花かざってたよね。なにあれ、マイブーム?あえて触れないで知らん顔してたんだけど」と笑うんだ。

ひさびさに、他人に絶望したよ!!


どんな気持ちで、常務がお花を飾ってたか、察せとは言わない。
ご本人が、仰らないのならね。
でも、もうすこし、ほんのすこしでも、人を思いやる気持ちがあったら、ペットボトルで花を生けさせたままで、お客様がお部屋に入った時に恥をかかないようにって、思ってあげるのが秘書の役割じゃないの?

速攻、自分が使っていい備品の場所も知らない状況だけど、こりゃ急務だと思って、総務部に花瓶を貸してくれって頼んだよ。
すぐに綺麗なガラスの花瓶に、花を生けなおしたよ。
常務がすっごい喜んでくれて、でもそれが逆に悲しくて。
あなたくらい優しくて頑張ってる人なら、このくらい親切にされたって当たり前なのに、喜んでる場合じゃないよ!?と思って。

で、自身が病気で体調きつくて、薬の副作用で毎朝起きると体がきつくって、正直、命の瀬戸際にいるのに。
「困ったことがあったら、なんでも相談しなさい」と、芯からの笑顔で言ってくれた。
もったいなすぎるっつーの!
私のことなんて、一番どうでもいいっつーの!!



後で聞いたのだが、私の上司(取締役)を直々に呼びつけて「春雨を頼む、あの子は本当に俺を慕ってくれてるんだ」って仰ってたらしい。
上司は、そんなの勘違いでしょう、若い子は年寄なんか慕いませんよって思ったんだけどね、と冗談交じりに言っていたけど。
ふざけんな、あの人は本当に末端にも気を配ってくれる、唯一の役員さんなんだ気安く語るなこの野郎、と反感を覚えた。

しかも常務は、ご定年で、あと数カ月しか出勤なさらないらしい。

嫌な言い方かもしれないけれど。
だからこそ、私が全身全霊でお世話もうしあげても、周囲からは「媚」とは映らない。
自分の仕事や地位とは、無関係な位置にいらっしゃるし。
だからこそ、心のまま、したい分だけ、優しくしてさしあげても、誰からも文句は言われないし。
相手からも、疑われないでしょう。

この時期、そんなに心細い思いをしていらっしゃる常務のそばに、私を呼んでくれてありがとう、神様。
やっぱり、直接お世話してさし上げられる場所にいるのといないのとでは違うし。
私は、しょせん女で一般職だ、出世も関係ない。
クビもこわくない。
だからこそ、大好きな人を大好きなだけ気遣っても文句言われないし。
そんな寂しい状況に、大好きな恩人を置いたままで終わらせることにならなくてよかったよ。

神様、このとき、この場所に私を呼んでくれてありがとう。

そして、へろへろな私を支えてくれるすごくたくさんの人たちをありがとう。
私はいつだって恵まれ過ぎてもったいない。

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