連日忙殺、まあ決算期の経理に関わっている人間は多かれ少なかれ似たような状況だろうし、毎年「会社はよほど私と心中がしたいんだな」と確認するのが関の山である。
いつもより1時間早く出社し、クソ忙しい合間にも送別会や接待で、体を酷使するにも程があるだろうという有様だった。
あとこれはまったくの私情なのだが、勤め先と家のちょうど中間に親戚がおり、老夫婦だけでひっそりと暮らしているのだが、そのおばさん(私の祖父の妹)が近年、認知症を発症してしまった。忙しくて吐きそうだったが、それでも今週の締めくくりに、無理やり定時で帰っておじさんおばさんの好きな両口屋是清のあんこ菓子とどけるぜ!そんでもっておじさんの肩もんで、食器くらいは洗ってあげて、そうして家に帰れば今週はフィニッシュだ!と己を奮い立たせた。すごく喜んでもらえたので、行った甲斐があった。
今週の自分は頑張ったと、胸を張って言える。
そして待ちに待った休み!!
実は、1ヶ月も前からヘアサロンの予約をしていた。ヘッドスパ付きの。
もうこれは自分へのごほうびだぜひゃっほう!と、意気揚々と電車で向かった。
ところが、人身事故で電車が止まった。
勤めだしてまずびっくりしたのは、井の頭線のチカンの多さと、JRの人身事故率の高さだ。
多いときは週に一度くらいはどこかで人身事故がある。
程度はさまざまで、ドアに手が挟まれたり、線路の隙間に落ちたり(モロに経験済み)、怪我の程度にもよる。
しかし、一番多いのは多分・・・あれだ。自殺だ。
山手線、内回りにのっていたのだが、電車は15分くらい止まった後、動き出した。
だから、大したことがなかったんだと、自然と思った。
いつものことだし。すぐ電車が動いたし。
そして私の乗った電車は、「事故現場」であったはずの駅にすべりこんだ。
壮絶だった。
反対側(外回り)の列車は止まっていた。
「KEEP OUT」と書かれた黄色いテープが、駅のホームに張り巡らされ、止まった電車の一部の車両に、巨大なビニールの覆いがされていて、何人もの警察の人や作業員が『何か作業をしていた』。
ホームにいた人々は遠巻きに見ていた。
反対側の電車にのり合わせた我々も、視線はそこに釘付けだった。
私は本当にちょうど、事故現場と真向かいの位置に、たまたま座っていたため、めくれたビニールの中身などがバッチリ見えた。
車内放送の「けが人の救護が完了しました」「けが人の救出が終了しました」という、言葉のうそ。
そしてそれを何となく想像がつくだろうに、無意識に、大したことなかったんだと思い込もうとする逃げの心理。
見せまいと、覆いの中で作業する人々の配慮。
そんなのおかまいなく現場を一目見ようと足をとめて見学してしまう人の心理。
想像するに、その電車に乗っていた人は、事故の瞬間、壮絶なものをガラス越しにみただろう。
平日ではない日、どこかへ出かける途中だった子供づれもいっぱいいただろう時間帯。
覆いの範囲からして、相当なことになっていたはずだ。
私たちの乗っていた電車は、何ごともなかったように動き出した。
私は目的のサロンにつけた。
2時間くらいして、今度は反対側の電車でもどった。
問題の駅にさしかかった。
まったく、1mmだって、何の痕跡もなかった。
まずそのことに驚いた。
『多分そこ、モロに事故現場だったはずだよ!』というところに、リュックサックしょった小学生くらいの男の子が、お母さんと電車を待って立っていた。
2時間前にそこで何があったかなんて、きっと誰も気付いていない。
そののどかな光景に、なぜか心底ぞっとした。
先ほど気になってネットで調べたら、20代の女性が自殺をしたのだそうだ。
もちろん、命は助からなかった。
あんなに良いお天気で、空は晴れてて、気持ちのいい日だったのに。
5月から6月頃は、本当に電車の「人身事故」が増える。
朝の忙しい通勤時間帯、疲れきって早く帰りたい夜、自分の都合だけを考えて「また人身事故かよ。もうやめてよね」とイライラしたことも、正直、ある。
でもあんな現場を見てしまって、しかもそれが何ごともなかったかのように痕跡を消されていたのを見てしまって、もうそうは思えない。
怒りに任せて冗談で「私が自殺するなら、もっとも混んでる通勤時間帯をねらって、電車全部とめて、何十万人の人に迷惑かけて死んでやる」と言った事もある。
なんつうか、そんなの一切無駄で、私の死などこうやって何ごともなかったように、大きな社会の「一瞬のイレギュラー」でしかないように、抹消されるんだろうなと。
なのにその現場を、直接もし小さい子が見てしまっていたら。
不可抗力だとしても、その電車を運転していた運転手さんは。
そして、仕事とはいえ、それを片付けなければならない人たちは。
誰にとっても、100%絶対にタメにならないことって、本当にあるんだなぁ・・・。
いつもより1時間早く出社し、クソ忙しい合間にも送別会や接待で、体を酷使するにも程があるだろうという有様だった。
あとこれはまったくの私情なのだが、勤め先と家のちょうど中間に親戚がおり、老夫婦だけでひっそりと暮らしているのだが、そのおばさん(私の祖父の妹)が近年、認知症を発症してしまった。忙しくて吐きそうだったが、それでも今週の締めくくりに、無理やり定時で帰っておじさんおばさんの好きな両口屋是清のあんこ菓子とどけるぜ!そんでもっておじさんの肩もんで、食器くらいは洗ってあげて、そうして家に帰れば今週はフィニッシュだ!と己を奮い立たせた。すごく喜んでもらえたので、行った甲斐があった。
今週の自分は頑張ったと、胸を張って言える。
そして待ちに待った休み!!
実は、1ヶ月も前からヘアサロンの予約をしていた。ヘッドスパ付きの。
もうこれは自分へのごほうびだぜひゃっほう!と、意気揚々と電車で向かった。
ところが、人身事故で電車が止まった。
勤めだしてまずびっくりしたのは、井の頭線のチカンの多さと、JRの人身事故率の高さだ。
多いときは週に一度くらいはどこかで人身事故がある。
程度はさまざまで、ドアに手が挟まれたり、線路の隙間に落ちたり(モロに経験済み)、怪我の程度にもよる。
しかし、一番多いのは多分・・・あれだ。自殺だ。
山手線、内回りにのっていたのだが、電車は15分くらい止まった後、動き出した。
だから、大したことがなかったんだと、自然と思った。
いつものことだし。すぐ電車が動いたし。
そして私の乗った電車は、「事故現場」であったはずの駅にすべりこんだ。
壮絶だった。
反対側(外回り)の列車は止まっていた。
「KEEP OUT」と書かれた黄色いテープが、駅のホームに張り巡らされ、止まった電車の一部の車両に、巨大なビニールの覆いがされていて、何人もの警察の人や作業員が『何か作業をしていた』。
ホームにいた人々は遠巻きに見ていた。
反対側の電車にのり合わせた我々も、視線はそこに釘付けだった。
私は本当にちょうど、事故現場と真向かいの位置に、たまたま座っていたため、めくれたビニールの中身などがバッチリ見えた。
車内放送の「けが人の救護が完了しました」「けが人の救出が終了しました」という、言葉のうそ。
そしてそれを何となく想像がつくだろうに、無意識に、大したことなかったんだと思い込もうとする逃げの心理。
見せまいと、覆いの中で作業する人々の配慮。
そんなのおかまいなく現場を一目見ようと足をとめて見学してしまう人の心理。
想像するに、その電車に乗っていた人は、事故の瞬間、壮絶なものをガラス越しにみただろう。
平日ではない日、どこかへ出かける途中だった子供づれもいっぱいいただろう時間帯。
覆いの範囲からして、相当なことになっていたはずだ。
私たちの乗っていた電車は、何ごともなかったように動き出した。
私は目的のサロンにつけた。
2時間くらいして、今度は反対側の電車でもどった。
問題の駅にさしかかった。
まったく、1mmだって、何の痕跡もなかった。
まずそのことに驚いた。
『多分そこ、モロに事故現場だったはずだよ!』というところに、リュックサックしょった小学生くらいの男の子が、お母さんと電車を待って立っていた。
2時間前にそこで何があったかなんて、きっと誰も気付いていない。
そののどかな光景に、なぜか心底ぞっとした。
先ほど気になってネットで調べたら、20代の女性が自殺をしたのだそうだ。
もちろん、命は助からなかった。
あんなに良いお天気で、空は晴れてて、気持ちのいい日だったのに。
5月から6月頃は、本当に電車の「人身事故」が増える。
朝の忙しい通勤時間帯、疲れきって早く帰りたい夜、自分の都合だけを考えて「また人身事故かよ。もうやめてよね」とイライラしたことも、正直、ある。
でもあんな現場を見てしまって、しかもそれが何ごともなかったかのように痕跡を消されていたのを見てしまって、もうそうは思えない。
怒りに任せて冗談で「私が自殺するなら、もっとも混んでる通勤時間帯をねらって、電車全部とめて、何十万人の人に迷惑かけて死んでやる」と言った事もある。
なんつうか、そんなの一切無駄で、私の死などこうやって何ごともなかったように、大きな社会の「一瞬のイレギュラー」でしかないように、抹消されるんだろうなと。
なのにその現場を、直接もし小さい子が見てしまっていたら。
不可抗力だとしても、その電車を運転していた運転手さんは。
そして、仕事とはいえ、それを片付けなければならない人たちは。
誰にとっても、100%絶対にタメにならないことって、本当にあるんだなぁ・・・。
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